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採算意識の醸成、収益の可視化、経営者育成……メリットが多すぎる経営手法「アメーバ経営」とは?

 2018年8月10日  Posted by  編集部


アメーバ経営という言葉をご存知でしょうか。大手電気機器メーカーの「京セラ」創業者であり名誉会長の稲盛和夫氏が実体験のうちから編み出した経営手法で、2010年に倒産したJALの更生などに役立ったと言われています。

全員が経営者!?アメーバ経営とは?

アメーバ経営とは人を活かす経営手法

アメーバ経営は、「経営はトップだけが行なうものではなく、組織のメンバー全員が関わるものである」という考えにもとづき、組織をアメーバのように細分化して、それぞれのリーダーが小集団経営をする手法です。強い経営者によるトップダウン的な経営方法とは逆の立場を取っているので、対義語はさしずめ「ワンマン経営」でしょうか。

全員参加経営の実現までの流れ

まず、組織を5〜10人単位のグループ分けで細分化します。さらに収支計算がしやすいように採算表(家計簿のようなもの)をつくり、小集団が「時間あたり付加価値」という同じ指標で収益性を比較できるようにしています。

すると、それぞれのアメーバが収支を競い合い、より収益を上げるために工夫をするようになります。こうして全員参加経営が実現されることになります。

さらにこのシステムを導入すると「組織のお金の流れ」が透明になるため、経営トップからしても大きなメリットとなるのです。

アメーバ経営の成功事例:JAL

2010年に倒産し、その後民間企業として更生したJALもまた、アメーバ経営の功績によるものだそうです。組織を細分化して便ごとの収益を透明にすることで、どこに投資してどこを切るべきなのかをはっきりさせました。ファーストクラスのない便が増えてきたり、収益の低い空港から撤退したりすることで効率的な収益化に成功しています。

アメーバ経営の目的(1)市場に直結した部門別採算制度の確立

お金の流れを透明に

組織を細かい部門に分け、社内のお金の流れを透明化することにより、明確でスピーディーな情報が吹き抜けることになります。経営の流れが活発になり、経営トップが個々のアメーバを管理しやすくなります。

導入事例

自動車ディーラーAは、企業内に存在するすべての部門を一括で採算管理しています。「経理」という大きな部門が全体の収支計算を行なっているため人的なコストパフォーマンスは良いように思えますが、それぞれの部門がお互いの収益情報を知らず、経営の実態が不透明になってしまっています。

そこでアメーバ経営の手法である「部門別採算制度」を導入。営業、サービス、販売などの部門に経営リーダーを立て、それぞれの部門が独立して収支計算を行なうようにしました。さらに月末にはすべての部門の採算情報がシェアされ、お互いの問題点や参考にすべき点を把握できるようになりました。

アメーバ経営の目的(2)経営者意識を持つ人材の育成

個々を強い人材に育成する

小さく分けたグループそれぞれにリーダー(責任者)を設けることにより、グループ自体がひとつの会社のように機能し始めます。小さな経営者が生まれ、そこから小規模のメンバーを育成し、各々が経営的な視点から物事を考えられるようになるのです。

導入事例

広告代理店Bはいわゆるワンマン経営で、トップの意見で経営のベクトルがすべて決まっている状態でした。必然的に社長1人の管理業務が膨大になり、これではまずいということでアメーバ経営を取り入れることにしました。

営業、企画、制作それぞれの部門にリーダーを置き、それぞれが自分の担当グループを経営するような方針を取りました。社長は部門をまとめる役にとどまり、経営や責任はリーダーが担うようになったことで、経営者意識を持つ人材が育つ環境が出来上がりました。

アメーバ経営の目的(3)全員参加経営の実現

全員が自己実現できる現場

小さなグループの中でそれぞれ独立した目標を立てることも重要ですが、社員全員が1つの目標(企業の経営方針)に関わることも企業発展のための大きな要素です。全員参加経営を実現することによって同じ価値観を共有し、その中でメンバーが自己実現できる現場が生まれます。

導入事例

建築会社Cは、各部門の統制が取れていないことに悩んでいました。社長が率先して経営を担っていたのですが、やはり1人では物理的にも限界があります。そこでアメーバ経営における「全員参加経営」を目指してみることにしました。

営業、設計、施工部門それぞれを細かく分け、「収益向上に向けたグループ経営上の意見」を募ってみました。すると、営業部門では「イベントを開催したらよいのではないか」、設計部門では「もっと顧客と深く関わりたい」、施工部門からは「技術を共有すべき」などの多様な意見が集まり、それらをシェアすることで目標に向かう一体感が醸成されてきました。

 

京セラは1959年に創業されてから黒字続きで、まさにアメーバ経営の第一の成功例であると言えます。社員全員が経営に関われる職場であるかどうかなどは企業選びの参考にもなるかと思いますので、気になる企業の経営状況とアメーバ経営の手法とを照らし合わせてみても面白そうですね。


市根井

市根井

1994年生まれ群馬県在住、新卒でいきなりフリーライターになりました。 群馬メディア「gooma」、観光メディア「SPOT」などで記事を書いています。得意分野は地方・フリーランス・WEBなど。 http://gooma.jp

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