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【業界研究】印刷業界の今後はどうなる?業界の動向とこれから期待される仕事について

 2018年8月8日  Posted by  編集部


「印刷業界」は本やチラシなどの印刷物を作ることの他に、どんなことをしているのでしょうか。不景気による低迷、インターネットの普及などで、今や事業の幅は大きく広がっています。そして、ニーズの変化に合わせて進化もしています。

一般にはあまり知られていない印刷業界の動向や主要事業、これから期待されている役割について解説します。

印刷業界の現状と柱となる事業

ここ10年の印刷業界は、どうなっているのでしょうか。データをもとに変化を追ってみましょう。

印刷市場の動向

出荷額

経済産業省が公表している「工業統計」によると、2015年の印刷業界の出荷額は5兆4582億円。10年前(2005年)の7兆1201億円と比較すると、およそ1兆6619億円の減少となりました。

業界の低迷は1990年代のバブル崩壊による不況から始まり、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災など、景気の変動による影響が少なくありません。なお近年は、5兆円半ばで横ばい状態が続いています。

事業所数

事業所数も2005年の31,970から2015年の22,140へと現象し、ここ10年でおよそ1万の事業所が統廃合に追い込まれています。景気の影響はもちろんありますが、インターネットの普及やデータ管理技術の向上により、世の中のペーパーレス化が進んでいることも大きく影響しているでしょう。

従業員数

同様に、従業員数も2005年370699人から2015年284,012人へと減少。9万人弱の減少となっています。さらに大手を中心に、印刷以外の事業にも幅広く展開していることから、必要な人材やスキルもいっそう多様化してくることが予想されます。

参考:経済産業省「工業統計調査」

印刷業界の2大事業

伝統的な事業は主に「出版印刷」と「商業印刷」の2種類に分かれます。凸版印刷大日本印刷のような大手企業はこの両方を行う総合印刷会社と呼ばれますが、その他ほとんどの会社は、どちらかに力を注いでいることが一般的です。以下でそれぞれ説明します。

出版印刷

出版印刷とは、コミックや雑誌、教科書など、出版社や新聞社などが発行する出版物を扱う事業です。出版社などから発注を受けて印刷、加工、製本を行い、取次といわれる流通業者に回します。その後、書店に置かれてはじめて、私たちが書籍として購入できます。このようにな出版印刷を主として扱う会社を、出版印刷会社といいます。

商業印刷

商業印刷は一般企業で用いる印刷物を扱います。その中でも「宣伝用印刷」と「業務用印刷」の2つに分かれ、宣伝用はチラシやパンフレット、POPのような販売目的によるもの、業務用は社内報や名簿、業務マニュアルなどの社内業務に用いられる印刷物を指します。

商業印刷の場合は、印刷会社が企画段階から関わり、デザインやマーケティングなどの総合的なサポートを行うことも多いです。

低迷が続く印刷業界が模索する4つの新事業

ここまで印刷業界の低迷が続いていること、従来行ってきた事業について紹介しました。しかし、出版物のデジタル化などが進む中で、印刷業界は次々に新たな事業を展開しています。それを牽引しているのが、凸版印刷と大日本印刷の大手2社です。その主な新事業を3つ紹介します。

電子コンテンツ事業

印刷業界が低迷する原因にもなっているのが、出版物のデジタル化です。それに伴って「電子コンテンツ事業」への展開が急速に進んでいます。分かりやすい例が電子書籍。今や書籍のほとんどが電子で読むことができ、新聞もスマートフォンで読む人が増えています。この電子化の流れは、ますます一般化していくでしょう。

また、印刷だけでなく、顧客データの一括管理やwebメディアの運営も請け負うようになりました。たとえば、チラシを電子化したメディアや地図サイト、グルメ情報サイトなどの運営も印刷会社によって行われています。

エレクトロニクス事業

他にも、印刷事業で培った技術をディスプレイや半導体などに応用する「エレクトロニクス事業」があります。大型液晶テレビやスマートフォンに使われるカラーフィルターやタッチセンサーなど、多くのディスプレイ関連商品で印刷技術が応用されています。

こういった技術は発展途上のため、まだ売上に占める割合は小さいですが、今後の拡大が期待されている分野といわれています。

生活・産業事業

「生活・産業事業」は大手2社の25%程度を占めており、印刷会社の収益の柱といえるほどに大きな事業となっています。具体的には、包装や紙容器、レトルト食品などのパーケージ、家の壁紙や建具用のシートといった私たちの生活と密接に関わっているものが該当します。

他にも、電池の外装部材や鉄道など、印刷技術があらゆる身近な場面で使用されているのです。

印刷業界でこれから求められる仕事・役割

印刷業界は業種の枠を飛び越え、求められる役割も変化してきています。その中でも、今後増えていくと期待されている仕事を見てみましょう。

マーケティングプランナー

マーケティングプランナーとは、販売促進に有効なマーケティング戦略を企画・立案する人のこと。クライアント企業の商品特性や市場の分析を行い、販促の実施、結果の評価までプランニングを行います。この職種はマーケティング系のIT企業で多く見られますが、特に印刷業界においては、広告などの印刷物を軸にしたマーケティング企画が求められます。

販売ソリューション

印刷物での販促が主となる飲食店や治療院などの店舗業に対して、クライアントが課題とする販促戦略の構築、マーケティングに特化したコンサルティングなどを行う仕事です。中小企業では、他社と差別化を図るためにも、印刷前の企画からマーケティング、効果の検証までをワンストップで請け負う会社も増えています。

編集プロダクション

出版印刷物の企画やアイデア出し、編集会議を行ったり、出版までの流れを実際に指揮するなどの上流工程を請け負う業務です。本来、出版会社が行っている業務を印刷会社が一括して請け負うイメージになります。

以上のように、印刷会社は、印刷技術を軸にして専門領域を広げていく動きがさらに進んで行くと予想されます。

一つは、マーケティングプランナーなどのように、企画や販売などの印刷前後の工程まで請け負うサービス。もう一つは印刷業務のノウハウや技術をもとに、そこから派生する周辺業務に活用していくサービスです。顧客のデータ管理やwebメディアの運用、多様な媒体での広告運用などが該当するでしょう。

印刷業界は単なるものづくり業界ではなくなる

印刷業界は景気や時代の変化を受けて、従来のものづくりとは様相が変わってきました。印刷技術での差別化は年々難しくなってきており、印刷業という言葉では括れないほどに他ジャンルへの展開が進んでいます。

変革期にあるため安心な業界とはまだ言えませんが、業界内で必要とされるスキルやポジションも増えてくるはずです。そういう意味では、転職のチャンスは広がる業界といえるかもしれません。

 


wada

wada

東京在住のアラサーです。大学を卒業して公務員になったものの、自分の言葉で世に表現していきたい衝動に駆られてフリーライターに転身。働き方、自己実現、スポーツ、美容健康などの分野に強い関心を持っています。

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