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世界各国と比べた労働時間、GDP、生産性ランキングから見えてきたこと

 2017年12月22日  Posted by  編集部


テレビや新聞などの報道で、日本は「労働時間が長い」「労働生産性が低い」「GDPが成長していない」と言われることが多いですが、実際には本当にこのような事実は起こっているのでしょうか?
日本を世界のひとつの国として、各国との相対化、比較を通して、ファクトや数字に基づいて、この仮説を検証してみたいと思います。

労働時間・1人当たりGDP・労働生産性

労働時間

以下の表は、OECD34か国に4国加えた労働時間のランキングを抜粋したものです。

順位 国名 労働時間(単位:h/年間)
1 メキシコ 2285
2 コスタリカ 2212
3 韓国 2069
4 ギリシャ 2035
5 ロシア 1974
16 米国 1783
22 日本 1713
26 英国 1676
28 フィンランド 1653
29 スウェーデン 1621
33 ルクセンブルク 1512
34 フランス 1472
38 ドイツ 1363

日本は年間1,713時間で22位という結果になっています。平均が1,763時間なので、意外にも日本の労働時間は主要国の平均よりも短いようです。

主要国中で労働時間トップはメキシコで2,285時間。逆に労働時間が主要国で一番短いのはドイツ。ドイツは1,363時間と日本よりもかなり少ない労働時間です。
ドイツは日本とかなり似た構造を持つ国として有名で、工業先進国として第二次世界大戦では同盟国だったという過去もあります。

もし、日本よりもかなり少ない労働時間で日本と同程度の経済力があるのならば、日本はドイツをお手本にすべき点が多いのではないでしょうか。
参考:グローバルノート

1人当たりGDP

続いては、1人当たりGDPのランキングを見てみましょう。

順位 国名 USドル
1 ルクセンブルク 104094.93
2 スイス 80.345.62
3 ノルウェー 70553.11
5 アイスランド 59629.05
6 米国 57607.61
7 デンマーク 53744.64
9 スウェーデン 51124.76
12 フィンランド 43482.41
14 ドイツ 42176.85
16 英国 40049.78
17 日本 38882.64
22 韓国 27534.84
27 ギリシャ 18049.3
34 メキシコ 8562.16

OECD34か国中の1人当たりGDPではルクセンブルクが圧倒的なトップ。そしてスイス、ノルウェーと北欧の国が続きます。

これらの国はそもそも分母としての総人口が少ないというのもありますが、金融業が盛んゆえに豊かという背景があります。金融業は動かす金額が大きいため、給料も高いという理由からです。

ある程度成熟した先進国は、製造業から金融業へとシフトチェンジしていくことを推奨する経済の専門家も多いのは、こういう事情もあります。

34か国中において日本は17位とちょうど真ん中くらいの豊かさでしょうか。
悪くはないランキング順位ですが、かつて経済大国として栄華を誇った1990年代などと比較すると、右肩下がりで1人当たりGDPは減り続け、順位は相対的にかなり落ち込みました。

一方で米国は6位、似た産業構造のドイツは14位と比較的善戦していますし、GDPは成長しています。1人当たりGDPは国民ひとりひとりの豊かさを表す尺度ですから、これが右肩下がりで減り続ける日本は衰退途上国ということなのです。
参考:世界経済のネタ帳

労働生産性

労働生産性(労働1時間当たりのGDP)ランキングも見ておきましょう。

順位 国名 USドル/h
1 ノルウェー 86.6
2 ルクセンブルク 82.1
3 アイルランド 71.2
4 米国 64.1
7 デンマーク 59.5
7 フランス 59.5
9 ドイツ 58.3
10 スイス 55.1
11 スウェーデン 54.7
17 英国 48.5
20 日本 40.1
28 韓国 28.9
34 ロシア 24
35 メキシコ 19.2

上位国は北欧のノルウェーや上記したルクセンブルク、アイルランドなど、やはり金融業の盛んな国がランキングしています。

日本は35か国中、20位と振るいません。日本の労働生産性が低い理由としてよく言われるのは、ホスピタリティが強すぎるゆえに、サービス料金以上の過剰サービスを供給させてしまう、主にサービス業の在り方が影響していると言われます。

しかしおもてなしの心で、誠意あるサービスを提供するのも、競争力の源泉ではあるため、これは痛し痒しといったところです。ホスピタリティが低いサービスを受けたがる人はあまりいないでしょう。つまり、日本の飲食店などは、もっと販売価格を上げるべきフェーズにいるということを示唆しているのかもしれません。

日本よりも労働生産性が低い国を見てみるとメキシコ、ロシア、韓国などが並びます。これは上記したように、軒並み、労働時間が大きい国と一致しています。分母の労働時間が増えるのだから、スコアが悪化するのは当然ですが、1人当たりGDPとも比例関係にあるのは面白いところです。

つまり労働時間を減らして、労働生産性を上げることに腐心している国は、しゃかりきに長時間労働する国よりもむしろ豊かになる、という傾向を見ることもできるからです。

このことから、日本ももっと労働時間を減らし、労働生産性を上げていけば、それが国民の豊かさへとつながる可能性は高いと言えるのではないでしょうか。
参考:世界の中の日本を知る世界ランキング

世界各国と比べた男女の給与格差、女性就業率、女性管理職比率

男女賃金格差

ワーストはアゼルバイジャン。男女賃金格差が50%を超えています。意外にも英国も35%超え。他にも性差別が激しいインドや韓国も当然に30%を超えています。

日本は世界ワースト11で30%弱。一昔前と比較すると、日本企業でも、初任給で男女差別をするような会社は減ってきましたが、未だに女性は男性のサブ的な扱いをしている企業もあるようです。

加えて、女性は結婚や出産を機に、退職せざるを得なくなる状況に追い込まれるケースがことの外多く、それによって、責任のあるポジションや管理職などになりにくい傾向にあることも相対的に賃金が低いことに無関係ではないでしょう。

参考:国際労働機関「賃金の平等 ジェンダー平等の重要な推進力」

女性就業率

日本の25~54歳の就業率は72.7%でOECD加盟国中23/34となっており、国際的には低水準です。世界一男女差別が小さいことで有名なアイスランドが84.1%、スウェーデンやスイスは80%超え。最も低い国だとトルコの35.7%などがあります。

どうして日本は相対的に低水準なのかと考えると、上記したように、妊娠や出産で職を辞すことを余儀なくされる女性がいることも影響しているのかもしれません。また、経営幹部や管理職に男性が多いと、未だに、「子育ては女の仕事」という根強いイデオロギーがあるのかもしれません。

保育所などのインフラも待機児童問題に見られるように、供給が明らかに足りておらず、そうなると自然、産休で長期離脱していた妻が、そのまま育休を取る、という流れが一般化してしまいます。あまりに長期離脱してしまうと現場の勘なども鈍り、復帰のハードルが上がるという背景もあるでしょう。

また、日本の年金システムでは「第三号被保険者」と言って、サラリーマンや公務員の配偶者は働かないで年金保険料を納めていなくとも、公的年金受給資格を得られるという変な制度があり、これも大きく影響しているでしょう。まるで国が、女性は出産したら、その子育てのために仕事を辞め、扶養に入ることを奨励しているような制度です。あまりに前時代的なシステムと言わざるを得ないでしょう。

サービス業や女性向け商材を開発する会社など、女性の方が職種に適している仕事も多い中で、女性を冷遇せざるを得ない状況は産業に悪影響を及ぼすのではないかと心配になります。

女性のみならず、男性、ひいては社会の全体最適のためにも、女性の就業率を上げていくことがこれからの人口減少時代に求められる雇用あり方と言えるでしょう。

参考:日本経済新聞「女性就業率、日本は34カ国中23位 OECD調査 」(2016年7月7日付)

女性管理職比率

管理職に占める女性の割合を調べてみると、日本は12.5%と相対的にかなり低いです。性差別が激しいことで有名な韓国が10.5%。一方、米国が43.6%、フィリピン46.6%、スウェーデン39.5%、シンガポール34.0%と日本や韓国などがいかに女性管理職が少ないか数字が示しています。

上にも書きましたが、サービス業や女性向け商材の会社などはもっと女性幹部、管理職を増やすべきだというのは議論の余地はないでしょう。

たとえば化粧品などの会社で経営陣に女性が1人や2人と言うのは、明らかに不自然です。能力や適性などを判断して、人事はなされるべきであり、性別が過度に人材配置に影響している現状はおかしいと言えます。

また、この女性管理職の少なさは、とりもなおさず、女性の就業人口の少なさも原因となっています。妊娠をトリガーに、子育てと仕事を両立できなくなった女性が退職してしまうのですから、そもそも管理職候補のパイがいなくなってしまうということです。

女性管理職を増やすためには、結局、地道に女性の就業率を上げるしかなく、加えてその昇進には性差別を根絶していくことも求められます。そのためにも保育インフラの整備やそれを利用するだけの子育て世代の経済力を底上げすることが社会に求められて久しい状況というのは周知のとおりです。

参考:データブック国際労働比較2017

DODA「人気企業ランキング2017」の働きやすい会社ランキングに見る、働きやすい会社の条件

転職サイトDODAが調査した人気企業ランキングを見ると、働きやすい会社の条件とは以下3つに大別されると考えられます。

  1. 多様な働き方(副業、在宅勤務、週休3日、スーパーフレックスなど)を認める土壌のあるITサービス企業など。
  2. 交通インフラなどの安定企業。
  3. 好きなもの企業、広告代理店や旅行代理店など。

まず1ですが、高度成長期の日本は製造業が産業の中心でした。製造業では工場労働者などが朝特定の時間に特定の場所に集まり、そこで一定時間マニュアル化された仕事を行い、特定の時間に帰宅する、という働き方が一般的でした。

労働者は、特に何も考えることはなく、作れば作るだけモノが売れた時代。この時代に「From 9 to 5(9時から5時)」はかなり効率的にワークしていたということです。

しかし時代は変わり、ただモノを闇雲に作るだけではそれが売れない時代が到来しました。高度経済成長時代の日本は人口ボーナス期であり、総人口が増え続けましたから、モノを作れば作っただけ売れたのですが、今の日本は衰退途上国として、人口オーナス期になってしまっています。闇雲にモノを作り続けていては、単に在庫リスクを抱える危険の方が大きくなってしまったのです。

そんな時代に、旧世代の働き方がマッチするはずはありません。上に書いてきたように、長時間労働を是正し、労働生産性を高め、妊娠や出産で女性はじめ、働き盛りの現役世代が仕事からスピンナウトしないように、ワークライフバランスを高めていくことが今の多様な時代に合うように変遷してきたのです。

その変遷を感じ取り、いち早く働き方を是正した企業が人気企業として求心力を高めるのは至極当然の論理的帰結と言えるでしょう。

2の交通インフラなどの安定企業というのは、やはり企業が存続し続けるということ、安定しているということで人気が集中していると思われます。

これは「働きやすい」というニュアンスとは少し異なるかもしれませんが、(むしろ働きやすくはないレガシー企業が多い気もしますが)企業があり続けるということで、キャリアを構築しやすい。生活基盤の制度設計をしやすいという意味での働きやすさは確かにあるのかもしれません。そこは労働者としての自分の資質を勘案して使い分けましょう。

3の好きなことやモノ、サービスに人気が集中しているというのも、「働きやすさ」とは少しニュアンスが異なるかもしれません。(広告代理店や旅行代理店は過酷な労働で有名でもあります)

しかし、好きこそ物の上手なれ、ということわざもあるように、人間は好きなことを仕事にすると、やりがいに燃えられるし、働いていて楽しい、ということはあるでしょう。そういう意味では、確かに「好きを仕事に」というのが、「働きやすい」という価値観につながってくることもあるでしょう。

ドラクエやFFなら徹夜でのめり込んでプレイしても、それほど疲労感を覚えないし、ずっと集中してやり続けられるという理由と方向性としては一緒です。しかし旅行が好きだから、旅行のエージェント業務にそこまでのめり込んで邁進できるかというと、少し疑問もありますが。

それぞれのランキングからわかること

さまざまなランキングを見てきましたが、共通するのは、「ニーズや生き方が多様化してきて、既存の働き方が制度疲労を起こしてきている」という事実でしょう。

まず、高度経済成長期のように、人口ボーナス期を享受はできないわけですから、しゃにむに残業して、モノを作っても売れ残るだけです。これからは需要頼みにモノを量産するのではなく、需要をむしろ創出していくようなアクティヴな働き方でないと上手くいかないでしょう。

そうであるとするならば、既存の長時間労働や、低い労働生産性、男性中心の雇用体系、などのレガシーシステムは、駆逐していく必要に迫られている過渡期とも言えます。

若い労働者は、そういう意識を持って、ボトムアップで自分たちの職場から改善していくように小さな努力から初めてみてはいかがでしょうか。


Rebe career 編集部

Rebe career編集部です。若手ビジネスパーソン向けに、スキルアップの方法論や今後のキャリア選択の参考になる良質なコンテンツを毎日配信しています。

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