これから事業をするなら「ソフト面」で攻めるべき?ハードとソフトの違い、関係性について
2018年9月11日 Posted by 編集部

業界や市場の流れをとらえるときに、「ハード」と「ソフト」の違いを知ることはとても重要です。現在勤めている企業がハード事業をしているのか、それともソフト事業をしているのか? これから始めようとしている副業はどちらなのか? これらを知っておくと、ビジネスの大枠がつかみやすくなります。
「ハード」と「ソフト」の意味って?
ハードは有形のもの
「ハード」という言葉は、物理的に形があるものを指します。パソコン関連ならキーボード・サーバー・液晶など、飲食店なら看板・客席の装飾・厨房用品など、学校なら教室・階段・グラウンドなどの「目に見えて触れるもの」がハードに該当します。
ソフトは無形のもの
反対に「ソフト」は形がなく、目に見えず触れないものを指します。パソコン関連ならアプリケーション・データ・通信など、飲食店なら接客・料理の提供スピード・経営など、学校なら教育方針・授業の仕方・部活動の制度などが該当します。
ハードかソフトかは、切り取り方によるところもある
このように、どんな事業であってもハード面とソフト面の両方が存在しています。最近では、ハード的なものでも切り取り方(解釈の仕方)によってソフト的にとらえることも多くなっています。
たとえば飲食店において「店内装飾にこだわること」はハード面の強化といえますが、これを「目に見えない雰囲気をよくする工夫」と捉えればソフト面の強化ともいえます。
筆者個人としては「モノ消費」よりも「コト消費」や「ナラティブ」が着目されるようになってから、あらゆるものをソフト的に捉えようとしている風潮があるように感じていますが、言葉に踊らされているような印象を受けます。
モノ=ハードが売れない時代には、ソフトをつくる
すべてのソフトは「ハードありき」
ソフトは、ハードありきで効果をもたらすものです。PS4やニンテンドースイッチのような筐体がなければゲームで遊ぶことはできませんし、パソコンやスマートフォンがなければ検索することもできません。ソフト面で戦っている企業はかなりハードに依存しているとも言え、こう考えると「ハード事業をしたほうが安定するのではないか」とも思えてしまいますが……。
とはいえ、ハードはもうみんな持っている(だから売れない)
しかし辺りを見渡してみると、実はもうハードが十分に揃ってしまっていることに気づきます。「新しいスマートフォンを開発したぞ!」と言っても、よほど革新的なものでないかぎり「iPhoneで十分」。ハードな分野は過去の大企業がすでに開発しきってしまっているため、参入のハードルが高すぎるのです。
ソフトを売って成長した企業例
リクルート
人材企業であるリクルートは、ソフトで成長を遂げた代表的な企業です。リクルートが手がける「人材」「広告」「販促」などの分野は、まさにソフト的なものであると言えます。
Apple
iPhoneやMacは物理的な端末ですが、そこに入っているmacOSやiOSは人々の生活を変えるほどのソフトでもありました。クラウドサービスであるiCloudの開発も行っているアップルは、間違いなくソフトで伸びた企業でしょう。
Amazon
アマゾンはまさにソフトの企業ですね。物流、ショッピングの仕組みをガラっと変え、世界のビジネスモデルに革新をもたらしました。このように、「仕組み」自体を売ることでも企業は成長し、成り立つというわけです。
ソフト面で事業をするメリット
かく言う筆者もフリーランスのライターとして、文章というソフトを生業としている人間のひとり。ソフト面での事業は、言葉通り柔軟な対応ができることが魅力です。ここからは、具体的にどのような点が柔軟なのかをご紹介します。
事業を始めるのに必要なのは人件費だけ
まず、単純にお金がかかりません。ライターであればパソコンとインターネット回線くらいは必要になりますが、それ以外に「準備する必要のあるもの」はありません。
なにかモノを製造するわけではないので工場も必要なし、リモートワークで済む事業であれば土地すら必要ないかもしれません。自分含む1人以上の人件費が必要となりますが、ハードと比べて「人間以外のものにかかる出費」が圧倒的に少なくなります。
スモールスタートしやすく撤退も簡単
ハードを製造するとなるとコストがかかったり、少なからず在庫を抱えたりすることになります。それは紛れもなく「大量生産したほうが利益率がいい」からであり、それは「絶対に成功する」という確信がないと始められない原因でもあります。
対してソフト的な事業は、お金もかからなければ大量生産のラインを用意する必要もないため、思いついた段階で「すぐに・小さく」始めることができます。さらにスモールスタートが可能ということは撤退も容易で、不動産や建築などの投資が少ないため「やめよう」と決断したら比較的すぐに撤退することができるのです(信頼は失うかもしれませんが…)。
ハードは有形、ソフトは無形のものを指しますが、ハード寄りの事業でソフト的なマーケティングが必要になることもありますし、逆もしかりです。両方を上手に融合させることで、効果的なビジネスに繋がるのではないかと思います。