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タイプ・企業別の働き方改革から考える、働き方ケーススタディ

 2017年12月24日  Posted by  編集部

ジョブ
						トラ20s

2017年に生まれた子供の数が2年連続で100万人を下回るというニュース(今年の赤ちゃん、2年連続100万人割れ=最少94万人-厚労省推計)がありました。加えて、死亡数は戦後最多の134万4000人にのぼり、人口の自然減数は40万人を突破する見込みです。

つまり日本は今後かなり長い期間、人口オーナス期(少子高齢化が進み、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)に対するそれ以外の従属人口(年少人口と老年人口の合計)の割合が高まる時期)に突入し、労働者および消費者は漸減していくことを余儀なくされます。

少ない人口でGDPを維持するには、労働生産性の改善が不可欠—こうした機運が一部の企業では高まってきており、働き方改革に着手。成果の出てきた企業などもあるようです。

ここでは、そんな企業の働き方改革の取り組み、そしてその成果などについて事例ごとに見ていくことにします。

残業時間の削減(伊藤忠商事、日本電産、味の素)

【伊藤忠商事】

https://www.itochu.co.jp/ja/csr/employee/safety/working_style/index.html

伊藤忠商事は、朝型勤務というユニークな制度を導入しています。
深夜勤務(22:00-5:00)は禁止で、20:00-22:00の勤務も原則禁止。その代り、朝早く出勤すれば、その分の勤務時間は深夜勤務と同等の割増賃金を支給し、しかも、8:00前始業社員には軽食まで支給しているとのことです。

気になる成果ですが、2012年度の導入から3年間で深夜勤務はほぼゼロになり、8時前出勤社員は全体の45%、1人当たりの時間外勤務時間は約15%も削減されたということで、効果が出ているようです。

【日本電産】

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/261748/022000014/

日本電産の永守重信会長が「2020年までに残業ゼロを実現する」と宣言したのは有名です。
元々はモーレツに働くビジネスマンの代表選手だった永守会長がこの発言をしたのは大変に意外で、メディアも驚きをもって取り上げましたが、真意はどこにあるのでしょうか。

同社は海外企業買収などで業容を拡大してきた実績がありますが、そんな海外のガバナンスにおいて日本基準を適用していてはとても通用しないと感じたようです。

ホワイトカラーの生産性上げる、マイクロマネジメント、会議を減らす、残業代が減った分は、ボーナスや昇給で補う、社員教育投資活性化、単位時間当たりのアウトプットを評価などの試みで、かなり険しい道のりである残業ゼロを達成していくというコンセンサスはできあがっているようです。

2020年までに残業ゼロを実現できるのか、楽しみにしながら注目することとしましょう。

【味の素】

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041300663/

味の素東京本社では水曜日は毎週きっかり午後5時に閉館してノー残業デー運用をしているということです。また、始業時間を8:15にして、就業時間を16:30に前倒しして早めに帰宅することを促しているようです。この運用は伊藤忠商事の朝型勤務と少し似ています。

同社の西村社長は、朝型勤務を導入するに当たって、ブラジルの従業員の働き方に大いに影響を受けたと語っています。日本電産が海外企業を買収してそこのガバナンスをする過程から長時間労働是正の必要性を学んだと言う逸話とよく似ています。

以上の3社の残業時間のガバナンスを見てみると、共通する2つの要素に気づきます。

働き方改革はトップダウンで経営者が強い意思を以て進めないとワークしにくいということと、それらのトップが外国の働き方に影響を受けているという2点です。これらは経済のグローバル化の恩恵といえるでしょう。

在宅・リモートワーク・時短勤務(カルビー、トヨタ自動車)

【カルビー】

https://www.asahi.com/articles/ASK22539MK22ULFA018.html

カルビーは週2日までを上限として運用していたテレワーク(自宅などの社外で勤務する形態の働き方)を毎日できるように制度を改正したとのことです。狙いとしては、このような多様で柔軟な働き方を労働者に提供することで、有能な社員の雇用求心力を高めるためだといいます。

ネットワークセキュリティリスクの増大や、Face to Faceの面談ができずコミュニケーションに影響が出る、会社に保管してあるリソースにアクセスできないなど、リモートワークには課題がたくさん残されていますが、職種によってはとてもワークする雇用システムだと思います。カルビーのようなリーディングカンパニーを皮切りにぜひ普及して欲しい働き方改革です。

【トヨタ自動車】

https://www.nikkei.com/article/DGXKASDZ02H2J_S7A800C1MM0000/

日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車では、現在ほぼすべての総合職を対象にした在宅勤務制度を導入しています。のみならず、当社はなんと、一般職にまで在宅勤務制度の対象を拡大しているとのことです。

通常、一般職というのは、オフィスにおいて総務や人事や経理業務などを行っているため、裁量が少なく、またオフィス内にいないと仕事がしにくいという特徴があるため、在宅勤務の対象にはなりにくいと考えられていました。ところがトヨタ自動車は他社に先駆けて、一般職社員にも在宅勤務制度を拡大するという動きに出たため、驚きとともにニュースに取り上げられたのです。

多少の制約はありますが、これで一般職もある程度柔軟な働き方ができるようになり、大変に先進的な取り組みと言えるでしょう。さすがは我が国の誇るリーディングカンパニーといったところでしょうか。

背景には、小さい子供の面倒を見たり、介護をしたりしなければならない社員がそのために離職してしまうことをヘッジしようという狙いがあります。

一般職にまで対象を広げるのはかなりハードルが高いように思えますが、日本の会社がトヨタ自動車のように、労働者に対して理解のある企業ばかりになると、大変働きやすい社会になるだろうとは思います。

副業・複業(サイボウズ、ロート製薬、花王)

【サイボウズ】

同社は多様な働き方改革で有名な企業ですが、面白いことに複業採用というのを行っています。

https://cybozu.co.jp/company/job/recruitment/fukugyou/

これは既に1社あるいは個人事業主として、仕事を行っている人向けの採用で、むしろそのようなパラレルワーカーを歓迎している動きで、働く側としては大変にありがたい存在の企業です。勤務地や定時、報酬や休日も応相談。このほかにも、さまざまな多様な働き方を組成している、とても先進的な企業です。

青野慶久社長はご自身でもメディアに積極的に露出し、多様な働き方の有用性を提唱されておられます。

【ロート製薬】

ロート製薬といえば目薬やスキンケア製品で有名で、過去「SMAP×SMAP」などのスポンサーをやっていたことなどでも有名な企業です。

このロート製薬は「社外チャレンジワーク」や「社内ダブルジョブ」という2つの制度を設けています。「チャレンジワーク」は兼業、「ダブルジョブ」は社内で複数の部門部署を担当できるという制度でリリースされた当初かなり画期的だとしてメディアなどに頻繁に取り上げられていました。

とりわけ兼業に関しては、それまで法的には問題がないにもかかわらずタブー視されていたところをあえて明文的に解禁したことで、とても先進的な取り組みと絶賛されました。

年功序列制度や終身雇用制度が実質崩壊しつつある昨今、なぜそこまで会社組織に忠誠を誓わなければいけないのか、という問題提起にもつながったことを考えると、当社の取り組みは称賛されるに十分理由があったということができます。

【花王】

あまり知られていませんが、花王も副業・兼業を解禁しています。花王のような大企業がなぜ、副業・兼業を解禁しているのか。それは社員の能力開発をしたいという経営陣の気持ちの表れなのでしょう。

副業で得た知見を本業にフィードバックしてもらい、生かしてもらった方が、自社のためになるという極めて経営合理的な判断がここにはあるということです。

副業をすることが、会社へのロイヤリティの低いことの証左である、という前時代的な思考をする経営者と比較すると、花王の経営者の先見性が際立つと思います。

ここでも、トップダウンの強い意思が当社の働き方改革を後押ししている好例と言えるでしょう。

同一労働同一賃金(イケア・ジャパン、コストコ)

【イケア・ジャパン】

イケア・ジャパンは「同一労働・同一賃金」制度を導入していることで有名です。

https://jinjibu.jp/article/detl/tonari/1266/

該当記事にも登場する「ライフパズル」というフレーズ。
人の多様な生き方を認めるならば、個々の人生がどのステージにいるのか、どうして人生においてそのチョイスをしたのか、それを尊重することから始めなければなりません。「同一労働・同一賃金」とはそれを尊重していることを会社が従業員に表現するためのひとつの方法ということです。

いくら口頭で「社員を大事にする会社」といってはいても、実践が伴わねば意味がありません。そういう意味で、イケア・ジャパンは「ライフパズル」を尊重していることを制度を組成することできちんと社員にフィードバックしている、真の意味で「社員を大事にする会社」ということができるでしょう。

【コストコ】

https://www.bengo4.com/c_5/c_1098/n_5017/

大手外資系ショッピングセンターのコストコでは、管理職以外の正社員でも時給制を導入しています。よく言われるところの、「成果に応じてバランスのとれた待遇を行う」というファジー(あいまい)な運用ではなく、仕事の内容や責任が同等ならば同一の待遇を行う均等待遇の雇用システムです。

「成果に応じた待遇」の場合、その成果を誰が判定するのか、という有機的かつ属人的な問題が出てきてしまい、運用が大変に難しくなります。この時給制ならば、その成果を定量的に判定するという難しい管理がなくなり、フェアな待遇環境を組成できるというメリットがあります。

しかし、既存の正規社員の給料を下げる、純減政策になってしまうと、それはそれで問題ですので、そこは慎重に社会が監視していく必要などはありそうです。

「同一労働・同一賃金」とは、労働の負担が同じならば、その労働の負担に応じて、労働者は賃金を受け取るべきであるという制度。至極当然の考え方ですが、現状の日本の労働現場において、この「同一労働・同一賃金」が実現されている事例は大変に少ないです。

一般的に日本の企業では、正社員は無期雇用社員として、安定雇用を約束されていますが、非正規社員は有期雇用社員として、いつ雇用契約を打ち切られても労働法上守られにくい立場にです。

本来ならば、企業の業績などに応じて、雇用の調整弁として扱われている非正規社員の方が、社会的な雇用の流動性を担保するために、雇用リスクを個人として受け持ってくれているという点において、むしろ給料の支給などで正規社員よりも待遇を厚くしてもらう方がより経済合理的と言えるのかもしれません。

そのほか(Yahoo!:AI活用→週休3日制、J&J:夜間・休日のメール禁止)

【Yahoo!】

https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2017/03/31a/

ヤフーは2017年4月から、小学生以下の同居の子を養育する従業員や、家族の介護や看護が必要な従業員を対象に、土日の休日に加え1週あたり1日の休暇を取得できる「えらべる勤務制度」を導入しています。

これはAIなどの技術を駆使して、ホワイトカラーの業務を効率化し、省力化に投資努力を行っている当社ならではの、大変画期的な改革です。制度設計をよりブラッシュアップしていき、より従業員に働きやすい環境を作っていってほしいものです。

このような先進的な企業の取り組みが優秀な労働者に雇用求心力として刺さり、優秀な労働者が集まる企業がどんどん競争力を上げていくことにより、硬直的な働き方に拘泥する企業を駆逐するような社会が望ましいでしょう。

【J&J】

ジョンソン・エンド・ジョンソンはグループ4社で午後10時以降と休日の社内メールのやり取りを20 15年7月以降、原則禁止にしたということです。この規定は管理職や役員も例外なく適用されます。

勤務時間外にまで業務メールに追いかけられては気が休まらない。せめて夜間と休日は仕事を忘れてリフレッシュしてほしい。その方が勤務時間中の業務効率も上がる、という会社の社員の身をおもんぱかる考え方があるようです。

しかし、夜間や休み中に完全に仕事モードをオフにせずに働きたいという社員も中にはいるかもしれません。世間的に認められつつある、働き方の多様性とこの原則禁止という規定があまり相性が良くないのは確かです。

ただそうは言っても、社員の疲労を軽減したいという会社側の考え方自体は社員にも伝わるでしょうから、こういう規定もテコに、働き方改革に社会的に注目が集まること自体は悪いことではないのかもしれません。

働き方改革の社会的ムーヴメントは段々大きくなってきているのを感じます。

これは主に以下の3つの要素が大きく影響していると言えるでしょう。

  • 社会や経済のグローバル化の進展とともに、日本の働き方も外圧を受け続けている。
  • 優秀な人材を自社に集めるために多様な働き方を組成する必要に迫られている。
  • 高度経済成長時代に組成された、がむしゃらに働けばいいという雇用システムが通用しない環境になってきた。

しかしムーヴメントが大きくなってきたとはいえ、まだその改革は道半ばです。

若いビジネスパーソンの皆さんは、自分から積極的に働き方改革について発信し、ボトムアップで働きやすい環境づくりに尽力しましょう。
それは他ならぬ自分のためにこそ必要なこととなります。


ジョブトラ20s

Rebe career 編集部

Rebe career編集部です。若手ビジネスパーソン向けに、スキルアップの方法論や今後のキャリア選択の参考になる良質なコンテンツを毎日配信しています。また、キャリアに関する支援活動をしております。詳細はこちらをクリック⇒ https://job-tryout20.com/

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