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彼女はなぜ自殺しなければならなかったのか?電通の働き方の問題点を考える

 2017年12月27日  Posted by  編集部


電通で過労死問題が発生したことで労働環境の改善が注目されるようになり、日本の企業全体の「働き方」が見直されています。今回は、発端となった電通問題を改めて確認し、「企業としての働き方改革」の実態について考えてみましょう。

改めて確認する「電通問題」

2015年12月、電通社員であった当時24歳の女性社員(以下、Tさん)が投身自殺をするという痛ましい出来事がありました。Tさんは2014年の春に電通に内定、2015年の春に入社したばかりでした。

月105時間の残業時間

ネット広告などを担当していたTさんは本採用となった2015年10月以降に業務が増加し、11月にはうつ病を発症したとみられています。このことについて労基署は、Tさんがうつ病を発症する前の1ヶ月間の残業時間が105時間に達したと認定しています。しかし、オフィス外での労働時間や残業時間の過少申告の疑いがあることなどで、実際には105時間より多かったのではないかという声も挙がっています。

染み付いた「電通鬼十則」

電通には、4代目社長吉田秀雄によって1951年につくられた「鬼十則」というものが存在します。これは電通社員の行動規範とされており、基本的にはビジネスマンを啓発する言葉なのですが「取組んだら放すな!殺されても放すな!目的を完遂するまでは…」、「自信を持て!自信が無いから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらがない。」などの高圧的な文言も並んでいます。「会社に行きたくない…」と感じたら辞めてもいい?新入社員の悩みに答えます。Tさんがツイッター上で上司からパワハラとも取れる発言をされたと告白していることからも、電通にはこの「鬼十則」を基礎とした風土が染み付いていたのではないかと考えられます。

電通が掲げる「働き方改革」とは

過労死、労働基準法違反、是正勧告と、働き方に関するさまざまな問題が表出した電通ですが、2017年7月27日に「労働環境改革基本計画」というものを提示しています。これは社内に労働環境改革推進室を設置し、全社員からアンケートを取るなどして定められたもののようです。

労働時間を削減し、ハラスメントをゼロに

「労働環境改革基本計画」では、約束として「三六協定違反・過重労働・ハラスメントをゼロにする」、目標として「1人あたりの総労働時間を80%に削減する」ということを定めています。具体的には「22時〜5時の間の業務は原則禁止」、「人員の増強や時間短縮を意識した仕事法により2019年度の労働時間を2014年比で80%にする」を実施するとのことで、連休や有休消化に関する改革と合わせて労働環境を改善すると宣言しています。

具体的な指標も定められている

また、この計画については具体的な定点観測対象と指標が設定されており、一例として「ハラスメント撲滅研修の受講率」「1人あたりの有給休暇取得日数」などが明言されています。2019年までに環境・基盤整備が完了するとのことなので、実際に労働環境が改善されることを願うばかりです。

働き方改革で電通は変われたのか?

改革のための投資により営業利益は24.1%減

電通は海外事業のウェイトが大きく、デジタル領域を中心に海外の企業を買収しています。そのため売上総利益は良好で、業績アップの傾向にあります。

しかし国内事業は減益傾向にあり、2017年11月に発表された決算において営業利益が前年比で24.1%減となりました。これは「働き方改革」のためにITや人的資源への投資がかさんだことが原因ということで、労働環境の改革に力を入れていることは間違いないでしょう。

働きたいのに働けない社員の存在

ただし、企業として行われる働き方改革はそうスムーズには進みません。

過労死問題が表出するまで「鬼十則」の風土を持った電通で働いていた社員の中には、「働きたいのに働けない」という方も少なくないようです。労働時間が規制されたことで「競合に負けてしまうのではないか」という懸念が生まれたり、これまで当然のように受けていた仕事を断らなくてはいけなくなったりし、結局家やファミリーレストランで仕事をする社員もいるとのことです。

さらに電通が持っている「クライアントからの信頼」も、これまでの労働環境があってこそ築き上げられたものだという意見があります。ブラック企業だからこそ大きく成長した電通社員は、「働き方改革」と「自分自身およびクライアント」とのジレンマを抱えているようです。

 

以上、電通の過去とその後の実態について確認してきました。電通に限らず、労働環境に問題のある企業がまだまだ存在する日本で働く上で重要なことは、「1つの会社が全てではない」という精神です。会社に自分を潰されてしまうくらいなら転職も視野に入れるなどし、自分の働き方は自分で決められるということを忘れないようにしましょう。


Rebe career 編集部

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