シンクタンクとは?コンサルとの違いは?シンクタンクの意味と仕事を解説
2018年2月28日 Posted by 編集部

シンクタンクとは?
シンクタンクの意味・由来
シンクタンクとは、専門性の高い領域についてのデータを収集・分析し、将来性や指針を導き出す業種です。社会問題や環境問題など長期にわたる課題に対応することが多く、学力や洞察力が必要な職業です。
19世紀後半の英国で社会問題を是正することを目的としてつくられたフェビアン協会が初代シンクタンクと考えられており、以降各国の方向性を定める頭脳集団としてシンクタンクは活躍しています。
シンクタンクの種類
日本の場合、省庁や地方自治体をクライアントとする政府系シンクタンクと、民間企業をクライアントとする民間系シンクタンクが存在します。海外のシンクタンクは何を目的とするシンクタンクかによって派閥があり、国からの支援を公的に受けるものもあります。
シンクタンクの代表的企業
日本のシンクタンクとして知られる企業は野村総合研究所、三菱総合研究所、みずほ総合研究所など大手企業の名が連なります。「~研究所」という名称の団体はシンクタンクと呼ばれる業務を遂行している場合が多く、働くスタッフは研究員として業務にあたります。
マスコミ総合研究所や中東調査会など研究する対象が限定されたシンクタンクもあり、長期的視野で観測すべき対象についてはシンクタンクの市場があると考えられます。
シンクタンクの必要性・将来性
シンクタンクは社会に必要とされる存在
シンクタンクは直訳すると頭脳集団という意味になります。政府・民間企業問わず、あらゆる決断の裏側には戦略思考が必要です。その戦略の指針を立てるためには、膨大な量の情報とそれを解析するための頭脳が求められます。
シンクタンクはそのニーズに応えることを目的として設立されている組織で、各業界の方針や文化を創り上げる上で必要とされる重要な役割です。総じて社会の動向を定める立場にある集団とも言えるでしょう。
シンクタンク業界の売上は増加の傾向にある
シンクタンク業界の筆頭を走る野村総合研究所や三菱総合研究所は、シンクタンク業務による業績を伸ばしています。日本経済の回復によってシンクタンクへの需要が高まり、流れのはやい現代における意見の必要性が伺えます。
また、今後はビッグデータやクラウド活用といった最新技術に関わるシンクタンクの必要性が高まることが予想されており、フィンテックや人工知能といった新しい潮流が国に対してどのような影響を与えるのかを示唆する存在としても需要が高まるでしょう。
社会情勢と関わるシンクタンクの必要性
シンクタンクの意見は、識者のみぞ知る極めて正当性の高い答えとして政府や企業に影響を与えます。社会情勢の動向や文化の変容にシンクタンクの力が大きく働くのです。不安定な情勢や流れの読めない時代があればあるほど、シンクタンクの必要性は高まります。
日本では、国の方針として実学重視の教育が定着しつつあり、研究者を育成する環境は縮小されつつあります。優秀な頭脳が集まるシンクタンクの唯一性は高まるとともに、今後もそのクオリティを維持していけるのかが課題となります。
シンクタンクの関連業界、コンサルとの違い
シンクタンクとコンサルティングの違い
シンクタンクは情報分析や調査、研究が主な業務であり、コンサルティング業務のように直接的なアドバイスを伝えることが目的ではありません。
シンクタンクの意見によって、結果方針が定まっていく流れはあるものの、あくまで方針を決定するための可能性や選択肢を明らかにすることがシンクタンクの仕事です。
したがって、コンサルティングでは人が評価されますが、シンクタンクでは情報が評価対象となります。携わるプロジェクトの期間もコンサルティングの方が短期間です。シンクタンクが重要視される一つの特異点として、任期などの制限なく一つの専門分野を研究し続けられる点が挙げられます。この強みを活かした情報を提供することが、シンクタンクの独自性です。
シンクタンクとコンサルティングの転職事情
シンクタンク内のコンサルティング部門はコンサルティング業と業務内容が似ているため、転職する際のスキルや経験のアピールが比較的しやすいでしょう。
一方で出身大学の優劣や院卒業の有無なども検討材料となるため、必ずしも同業からの転職だからと言って合格が約束されているわけではありません。
各専門分野に応じた研究や分析が必要となる部門については、コンサルティングでの経験が生きない場合もあります。
いずれにせよ、大手研究所になればなるほど狭き門であることは言うまでもありません。
未経験からの挑戦の場合は非常に難しいということを覚悟し、自身の専門性を主張できるアピールポイントを準備しましょう。
シンクタンクはコンサルティングの一部
シンクタンクは企業・社会双方に対する課題の提示を業務内容として掲げており、提示のために必要なリサーチや、それに伴う知識やソリューションの蓄積がシンクタンクの定義にも通じていることがわかります。課題提起はコンサルティング業務と共通する点が多く、その視点に立てばシンクタンクはコンサルティングの一部と捉えることもできるでしょう。
また、シンクタンクの中では新たな市場や事業の創出に力を入れる研究所もあります。課題解決の方法として新規事業の創出は大きな意味を持ちます。こうしたケースでも、新規事業の道標を知見をもとに進めていくプロセスは一種のコンサルティング業務に近しいものとなります。
シンクタンクは専門性やアプローチの点でコンサルティングと一致こそしませんが、その過程で重複するポイントが多いと言えるでしょう。
シンクタンクを身近に感じる例
シンクタンクと2020年オリンピックの関連性
2020年東京で開催されるオリンピックについて、シンクタンクはデータ調査と分析を通じて経済効果や開催による影響を予想しています。
オリンピックにおける先行投資額は多額で、開催によって出る利益が及ぼす経済効果を正確に予想するためには、膨大な情報量を元に試算する必要があります。シンクタンクは、こうした大規模な未来の試算をすることで予想外の損益を減らす効果をもたらします。
書籍販売やテレビ出演で影響力を示すシンクタンク出身者
シンクタンクで活躍中、または独立した研究員が書籍販売やテレビ出演で影響力を示すシーンも多く見られます。テレビ番組のコメンテーターとして活躍する寺島実郎氏や多くの書籍を販売する高橋進氏など、知識量と発言力を活かした文化人的ポジションで活躍する人も少なくありません。
シンクタンクのデータが示唆する未来
戦争や政治の行く末、社会の今後を見据えて発表するシンクタンクもあります。シンクタンクの出す予測はデータに基づいており、実現する可能性が高いことから、さまざまな言論の核として参照されている重要な情報と言えるでしょう。
日本に身近な例としては、NRI(野村総合研究所)による人口統計を元にした労働力と人工知能の発展についての予測です。長寿による人口増加が各国で続く一方、日本国内の人口は2025年までに現在の3分の2まで減少すると言われており、その結果、2030年までに国内の労働力人口は2013年と比較して約900万人減少すると言われています。こうした中で人工知能の発展は労働の自動化を進め、2025年から2035年の10年間で日本の労働の49%はAIやロボットによって代替されると予想されています。
(参考ページ:「NRIジャーナル」)
こうした数字は統計やリサーチの結果導き出されているものであり、極めて現実に近い未来予測と言えるでしょう。予測結果は各メディアを通じて伝わり、各業界のリスクヘッジや対応を迫ります。こうした影響力の強いリサーチ結果を出すことも、シンクタンクの業務のひとつです。
シンクタンクは社会に直結するデータを示唆する重要な仕事
シンクタンクは社会情勢を左右する影響力を持つ重要な仕事です。自身の仕事によって社会貢献をしたい方や、一生を通じてひとつの専門分野に携わりたい方、研究やデータ分析を得意とする方には適職でしょう。興味のある方は、シンクタンクの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
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