「やりがい搾取」されている?チェックリストと3つ対処法
2018年3月19日 Posted by 編集部

働き方改革が叫ばれる中、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主人公・みくりが言ったことでも話題となった「やりがい搾取」。言葉の意味や実態がわかっていない人も多いのではないでしょうか? 今回は「やりがい搾取」が何なのか、自分が搾取されていると気が付いたらどうすべきか? を解説します。
目次
「やりがい搾取」ってなに?
1.お金じゃなくて「やりがい」をあげる!「やりがい搾取」の実態
「やりがい搾取」とは、次のような状態を指します。
やりがい搾取とは、ワーキングプアと同様に長時間労働かつ低賃金であり、その問題性を隠蔽するかのように「やりがい」を提供する労働環境問題のことである。
(出典:低賃金労働の抱える課題─ワーキングプアとやりがい搾取を中心に─,産業経営研究39号,日本大学経済学部産業経営研究所)
新卒で就職活動をする学生や転職希望の社会人は「やりがいのある仕事がしたい」とよく言いますが、そんな若者を「安く使える労働力」として搾取する状態のことなのです。つまり、「自己実現するためには、どんなに低賃金でも休まず働かなければならずとも仕方がない」という意識を植えつけて働かせる、というわけです。いわゆるブラック企業にありがちですね。
2.知らぬ間に心身が蝕まれている!?「やりがい搾取」の害悪
自己実現を餌にして労働力を搾取する行為に対する責任は、決して軽くはありません。働いている人の中には「やりがいはお金に変えられない。給料は低いし残業も多いけど、この仕事が大好き!」という人が世の中にいるのも事実です。働いている本人が自分が置かれている状況を理解したうえで、納得して働いているのであれば、それは「搾取」ではないでしょう。
しかし、多くのブラック企業ではこの「やりがい搾取」な働き方こそが「仕事とはこういうものなんだ」と教え込み、働いている本人たちは無自覚のまま仕事をしていることがほとんどです。「低賃金当たり前」「残業当たり前」「残業代が出ないのも当たり前」と、やりがい搾取が常態化してしまうと心も体も異常な状態に慣れきってしまい、知らぬ間に心と体が壊れてしまうのです。
あなたは「やりがい搾取」されてない?セルフチェックしてみよう
自分が「やりがい搾取」されているかどうか、すぐに気が付ける人は良いですが、前述のとおりそれが常態化してしまうと、自分自身では判断ができない状況になってしまいます。そこで、こんな企業はやりがい搾取になっているかも? というチェックリストをご紹介します。あなたはいくつ当てはまるでしょうか?
「やりがい搾取」な働き方のチェックリスト
- 24時近くまでの残業は当たり前にしている
- 基本給に残業代が含まれている
- 給料は安いが、自分がやりたかった仕事なので仕方がない
- 同業他社の友人の方が、なぜか給料がものすごく高い
- 自分の成長のためになるなら、長時間労働は仕方がない
- 5年以上勤めているが、昇給は全くない
- 有給休暇が取れない、あるいはすごく取りづらい企業風土だ
- 完全なトップダウンで、部下の意見は聞いてくれない
- 「自分たちがしている仕事がいかに素晴らしいか」を社長や上長から定期的に伝えられる
- 社員が働き環境の改善に関して、会社はあまり積極的ではなさそうだ
あなたはいくつ当てはまったでしょうか?
上述の「低賃金労働の抱える課題─ワーキングプアとやりがい搾取を中心に─」には、
やりがい搾取はワーキングプアの亜種として問題視しなければならない。長時間労働かつ低賃金の点は同様であるが、そこに「やりがい」を与えることで自身のおかれている労働環境を望ましいものであると認識し、その結果体調不良を引き起こすまで働き続ける現象である。
とあります。
つまり、やりがいと引き換えに、長時間労働や、安月給や、最悪の労働環境労働環境を受け入れるのは間違っているのです。当たり前のことを言っているようですが、「やりがい搾取」の当事者は、そんな当たり前の事実にさえ気づかない“洗脳状態”に陥っています。
チェックリストを確認して「あれ?ひょっとして自分の働き方って、ちょっとおかしいのかも……?」と思った方は、働き方を見直す必要がありそうです。仕事に「やりがい」があるのは良いことですが、基本的には生活のために給料をもらうため仕事をしているのです。仕事のパフォーマンスを高く保てるように、定時で帰ったり休みを取って心身を休息させることも必要だというのが基本です。それを忘れないでください。
働きすぎになっているかどうかをチェックするリストがこちらの記事に載っています。ぜひこちらもチェックしてみてください!
(参考:あなたは大丈夫?働きすぎのシグナル・ワーカホリック診断)
「やりがい搾取」されやすい人の3つの特徴
こんな働き方が「やりがい搾取」に当てはまるかも……というチェックリストをご紹介しました。「私は全然当てはまらなかったから、大丈夫!」という人も、これからの人生でいつ、やりがい搾取が横行している職場に行き着いてしまうかわかりません。そこで、やりがい搾取に逢いやすい人の3つの特徴をご紹介します。あなたはやりがい搾取に逢いやすい人に当てはまるでしょうか?
1.社会人経験の浅い自己犠牲の精神の強い人
やりがい搾取に1番逢う可能性が高いのは、社会人経験の浅い人やこれから社会人になる新卒の学生などです。
ある程度の社会人経験を積んで家族なども持っている人は、やはり仕事は「生活のため」になりやすいです。しかし、独身で社会人経験のない人たちは「好きなことややりたいことを重視だから、給料が低くても残業が多くてもいい」「社会の役に立つことの喜びが欲しい」と、給料やその他待遇については二の次になりがちです。
チェックリストに入っている「給料は安いが、自分がやりたかった仕事なので仕方がない」「自分の成長のためになるなら、長時間労働は仕方がない」などに当てはまりやすいのも、社会人経験がない、あるいは浅い人たちの特徴です。こういった人たちはやりがい搾取な企業にとっては、非常に好都合な人材となってしまいます。
2.本人も了承済み?再就職後のワーキングママ
専業主婦を経てから再就職をする、ワーキングママが「やりがい搾取」の対象になりがちです。
今まで家庭のことを一生懸命やってきたはずのママたちが、ひとたび社会に出ると専業主婦の時には感じることができなかった「社会の役に立っている感覚」を得ることができるため、「もっともっと職場の役に立ちたい!」という気持ちが、待遇以上に一生懸命働いてしまう要因になってしまいます。
自分自身がその状況を理解していれば、仕事を一生懸命することは悪ではありませんので良いのです。しかし無自覚なまま、上司に言われるままに残業してしまったり、人と比べて業務量が増えてしまうことには要注意です。
チェックリストの「5年以上勤めているが、昇給は全くない」「完全なトップダウンで、部下の意見は聞いてくれない」「社員が働き環境の改善に関して、会社はあまり積極的ではなさそうだ」などに当てはまってはいませんか?
3.未経験の業界・職種へ転職した直後の人
ある意味では仕方がないことなのですが、未経験の業界・職種へ転職した直後は職場や仕事に早く慣れ、覚えようとするあまりに一生懸命働く人が多いです。
転職する人たちは夢だったり憧れだった業界・職種への転職をされる方も多いため、企業側も「やりがい搾取」をしやすい状況があるのです。
これも社会人経験のない人と同様で「給料は安いが、自分がやりたかった仕事なので仕方がない」「自分の成長のためになるなら、長時間労働は仕方がない」などに当てはまりやすく、また「同業他社の友人の方が、なぜか給料がものすごく高い」にチェックがついたら要注意かもしれません。
「勉強になるから」「早く覚えてもらわないと」という言葉で、残業や休日出勤を要求してくる上司もいるかもしれません。「みんながやっていることだからね」と会社の状況を理解する前に刷り込まれてしまっては、それが“普通”になってしまうのでやりがい搾取な環境が当たり前になってしまいます。
「やりがい搾取されている!」と気づいた時の3つの対処法
ここまで記事をお読みいただき、「もしかしたら、やりがい搾取されているかも!?」と気がつき始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分がやりがい搾取に逢っていると気が付いたらどのように対処したらいいのでしょうか?3つの対処法をご紹介します。
1.「心と体を壊しては身も蓋もない!」ことを肝に銘じる
まず、「なんのために働いているのか?」を今一度、再確認しましょう。「お客さんの喜ぶ顔が見たいから」「長時間働けば、その分だけ実践的に学ぶ機会が増える」と思っている人は、今すぐ自分の考えを疑いましょう。
みんな、自分が幸せに生きていくために働いてるはずです。心身を壊すような業務量や長時間労働をしていては、健康を害します。健康を害すまで働き通したとしても、会社が自分のために何かをしてくれるわけではありません。残業や忙しいのが当たり前になっている人は、まずここからがスタートです。その仕事は残業や休日出勤をして健康を害すだけ、あなたにとって価値がありますか?
会社に搾取されない働き方を実現するヒントとして、こちらの記事も参考にしてみてください(参考:会社に搾取されず、無理をしない働き方を実現する方法について考えてみる)
2.やりがい搾取な職場とはおさらば!さっさと転職する
そもそもやりがい搾取をするその職場に居続ける必要性がない……と思った人は、さっさと転職活動を始める準備をしましょう。いつまでもグズグズして、やりがい搾取される時間を延ばすだけ無駄かもしれません。
でも、次に行った職場でも「やりがい搾取」な企業だったら、転職する意味がないですよね。なので転職活動をする時に「やりがい搾取」な企業かどうかを見抜く目は養っておきましょう。「成長」や「お客様第一」など求人広告に記載してあるところは気をつけた方が良いかもしれません。また、「はじめての転職で気をつけることは、ざっくり3つ!ブラック企業の回避法も、円満退職の秘訣も教えちゃいます」という記事でもブラック企業の回避方法など参考になるので、ぜひ読んでみてください!
3.自分1人で悩まないで!労働組合や弁護士に相談する
自分1人で悩み続けても、何も解決しません。困った時は労働組合や弁護士といった専門家、労働局・労働基準監督署や地方自治体の労働相談を利用し、誰かの手を借りることを躊躇わないでください。
相談にいく際には、証拠となるメールや出退勤時間のメモ、音声データなどがあると心強いですし、第三者の判断もしやすくなります。
心身ともに健康に働くことを忘れずに!
「やりがい搾取」の実態や、どんな人がやりがい搾取に逢いやすいのか、またどのように対処すれば良いのかご紹介しました。心身ともに健康で働くことが仕事の大前提です。自分が「やりがい搾取」な働き方をしていないか、考えてみましょう!
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