臨床開発モニター(CRA)が激務と言われるのはなぜ?その仕事内容と、CRCとの違い
2018年4月12日 Posted by 編集部


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臨床開発モニター(CRA)は製薬メーカー側から治験をサポートする仕事ですが、よく激務だと言われています。今回はその仕事内容と、治験コーディネーター(CRC)との違いについて解説します。さらに、他職種からCRAに転職する際に必要となる資格・学歴・経験についても触れていきます。
CRAの仕事内容
治験が正しく行われているかをモニタリングする仕事である、CRA。実はCRAにも役職があり、スタッフクラスとリーダークラスなどに分類されます。そして、その役職ごとに行う業務にも違いが出てきます。
治験実施に関わる契約・準備
スタッフクラスのCRAは、治験の準備を担当します。
治験を行う医療機関が決まったら、医療機関に対して治験の説明を行って同意を得ます。CRAは製薬メーカーの代表者ですから、ここでは単純に契約手続きをすればいいというわけではありません。メーカーが不利にならないように条件を交渉するスキルも必要になるのです。
治験モニタリング業務
続いて、メインの業務ともいえる「治験のモニタリング」。
予定通り、規定通りに治験が行われているかどうかをチェックします。ルールに沿って安全性を確認することはもちろんですが、治験のデータに問題がないかなども慎重に見る必要があります。具体的には医師へ随時ヒアリングし、CRF(症例報告書)に不備がないかチェックしていくことになります。
治験終了手続き・報告書の作成
治験が問題なく実施されたら、医療機関側のSOP(標準作業手順書)に沿って、医療機関に治験の終了を伝えなくてはなりません。さらに、回収したCRFとは別に、業務報告書を作成します。治験を振り返り、次回に備えます。
リーダークラスのCRAは治験の手順書(プロトコール)のレビューも
また、役職が上である場合は治験の手順が規定されている書類(プロトコール)の、レビューを行うこともあります。プロトコールの作成は一般的に製薬会社の開発企画職が担当するため、CRAはレビューにとどまりますが、治験の実施中に問題が発生しないように医師などと協議する重要な業務です。
実は営業的な役割が求められる?
症例獲得数の目標がある
CRAには症例獲得数の目標が設定されます。営業ノルマと違い、その目標を達成しなければ何らかのペナルティが発生するわけではありませんが、目標を常に意識して働く必要があります。
症例獲得数の目標達成率は人材としての評価や給与にも影響が出るので、キャリアアップの観点から考えればノルマと大差ないと言えるでしょう。
治験者獲得や、病院側とのやり取りのためにコミュニケーション能力は必須
症例獲得のためには治験者を獲得する必要があり、そのために病院とコミュニケーションをとることが必要です。日ごろの関係性の構築はもちろん、協力してもらうことの必要性をプレゼンする能力も求められます。
こうしたコミュニケーション能力の必要性は営業と重なる部分もあり、意外な一面でもあるでしょう。
急な仕事が多いため、臨機応変な対応力とストレス耐性が求められる
CRAには締切がつきもので、書類作成に追われ続けることへのストレス耐性がないとプレッシャーに押しつぶされてしまいます。また、そのあいだに変更への対応などが入ると、タスクの優先度が次々と変わります。臨機応変にそれらを解決しつつ、締切に間に合わせていく対応力が必要です。
こうしたスキルは人を相手にする営業に近い側面もあり、自分自身の精神力との戦いも多くなるでしょう。
CRAの働き方
CRAの一週間
CRAの1週間は、主に外勤と内勤の2種で構成されます。
病院への直行直帰が週2〜3日
治験対応や病院訪問をする日は、病院へ出向きます。ほぼ終日時間を取られるため、直行直帰になることが多いでしょう。勤務地は全国の病院が対象になるため、移動時間も多くなります。
内勤日は報告書作成がメイン
外出のない日は治験の結果をチェックしつつ、症例報告書を作成します。外勤のアポイントが優先して決まっていくため、空いている時間でいかにスピーディに報告書作成を済ませるかがポイントになります。
残業時間は月20〜30時間
CRAの残業時間は月20〜30時間です。治験開始直後は忙しく、月50時間程度になることもあります。
激務という表現からイメージするほど多くない残業時間だと感じるかもしれません。ですが、週の大半が病院訪問になることで本来進めるべきタスクが滞ってしまうため、結果として時間が足りない状態になってしまうようです。
土日祝休みが一般的
休日は土日祝日で、ほとんど例外はありません。業務上の急務はありますが、休日を使うようなケースは少ないため、確実に休みをとりたい人には魅力的な環境です。
白衣じゃない!服装はスーツかオフィスカジュアル
服装は外勤の場合はスーツ、内勤の場合はオフィスカジュアルが一般的です。病院関係の仕事なので白衣という印象が強いかもしれませんが、実際はオフィス勤務と変わらない服装になります。
CRAの仕事量はどのくらい?
一度に手がける治験は1〜3案件
CRAはプロトコールと呼ばれる単位で案件数を考えます。プロトコールとは、治験の対象となる薬の効能数を数えるもので、同じ薬でも効能が複数ある場合は別の案件として数えます。
ひとつのプロトコールの投薬期間は数ヶ月から1年で、1人のCRAが同時に担当する治験は1〜3案件になります。したがって、数ヶ月単位でプロジェクトを入れ替わりながら仕事量の増減が繰り返されるのです。
担当する施設は3〜4施設
CRAが担当する施設は3〜4施設です。ひとつのプロトコールに対して数十施設で治験が実施されるため、複数人のCRAが分担してモニタリングします。
CRAの仕事が激務と言われる理由
ここまでCRAの業務内容を説明しましたが、CRAは激務であると言われることが多い仕事です。ここからは、その理由を解説していきます。
出張が多い
CRAは、毎週のように全国の病院に出張する必要のある仕事です。それもそのはず、病院を回って治験をモニタリングするのが主な業務。北は北海道から南は沖縄まで、時期によっては連日飛行機に乗らなくてはならない場合もあります。
そのため実労働時間は長くなりがちで、当たり前のように残業となってしまうのです。ただし、活動拠点は定められているため、出張の回数は多くても転勤が少ないのも特徴のひとつでしょう。
報告書の作成量が膨大
移動により物理的な時間の拘束時間が長いだけでなく、作業量も多いのがCRAの特徴です。先述のように治験のモニタリングを行なうたびに報告書を作成しなければならず、その種類も膨大です。新薬の申請となれば提出書類は数万ページにもなるほど、単純に業務の量が多い仕事なのです。
納期間際のプレッシャーが大きい
当然ですが提出書類には納期があり、その間際になるとプレッシャーを感じるようです。提出書類の数も膨大なうえ出張も重なるということで、なんとか提出を間に合わせるために残業してしまう…という流れになります。ちなみに、CRAの平均残業時間は20〜50時間で、特に治験の立ち上げ直後が忙しいようです。
CRAとCRCの違い
CRAとCRCは、「治験をサポートする」という点では共通しています。しかし、その業務内容や所属は異なります。
CRAは製薬メーカー側、CRCは病院側
CRAが製薬メーカーに所属しているのに対し、CRCは病院(医療機関)側から治験をサポートします。民間企業や治験支援機関に所属することもあるため必ずしも「病院に所属」というわけではないのですが、CRAとは治験をサポートする立場が異なります。
CRCの仕事内容とは?
では、CRC(治験コーディネーター)の仕事内容についても、簡単に確認してみましょう。
CRCは治験参加者を探し進行状況をケアし、医師や医療スタッフのサポートをします。準備段階では医師の紹介や新聞、インターネットなどを通して治験参加者を募り、基準を満たした参加者に対して説明して同意を得ます。さらに、医師のサポートとして、治験に関する書類作成の手伝いも行ないます。薬にフォーカスしているCRAと比較すると、少し「治験参加者」に寄った仕事内容といえますね。
CRAもCRCも特別な資格は不要
実は、CRAもCRCも、なるために必要な資格というものはありません。つまり、理論的には未経験者でも就くことができるということです。ただし、現在活躍しているCRAやCRCの人々はMR、看護師や薬剤師、臨床検査技師などの医療系資格を所持しています。つまり資格は必要ではないものの、「医薬に関する広い知識」はしっかりと求められているようです。
転職でCRAになるには?
求められる役割が多く激務だといわれるCRAですが、他職種からの転職でCRAになるにはどんなスキルや経歴が必要になるのでしょうか。
取得しておきたい資格
上述のとおり、「CRAになるために必要な資格」というものは存在しません。しかし「持っているとCRAへ転職しやすい資格」はあるようで、CRAばんくによれば1位が「CRC・治験コーディネーター」、2位・3位が「製薬会社MR」となっています。ただし人数の割合として最も多いのはMRからの転職のようです。
参考:CRAばんく CRA(臨床開発モニター)に「なるには」
必要な学歴
MRからCRAへの転職が最も多いとのことでしたが、そもそもMRになるためには4年制大学を卒業してからMR認定試験に合格しなくてはなりませんから、必然的に「4大卒」が必須学歴となります。
次いで割合が高いのが、薬剤師からCRAへの転職。薬剤師になるためには薬科大学や薬学部を卒業し、国家試験に通る必要があります。いずれも理系のほうが文系より若干有利なようですが、文系でMRになっている方も多いため、可能性は十分にあると言えます。
求められる経験
いくつかの求人情報を確認してみると、CRAの求人で求められているのは「モニター経験のある人」もしくは「CRA未経験でも、MRや看護師、薬剤師などの経験がある人」のどちらかであることが分かります。まれに「薬剤師や看護師などの有資格者」が対象として記載しているところもありますが、基本的には何かしらの医療分野での経験が必須になることが多いです。
CRAは治験のプロジェクトをマネジメントしていく業務である以上、せめてメンバーとして現場に立ったことがある人が欲しいというのが本音であるようです。どの企業も英語やマネジメントに関する研修は用意していますが、医療分野の基礎的な知識についてはあらかじめ身につけておくべきでしょう。
治験は、新薬の開発のために重要な役割をもっています。新薬開発は製薬会社の売上に貢献する分野であるため、そのモニタリングを担当するCRAもまた、大きな需要をもつ仕事なのです。一般的にはハードワークですが、将来性もある職業だといえます。

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