世界と日本の製薬会社ランキングトップ10!業界の将来性はどうなる?
2018年5月24日 Posted by 編集部

製薬業界は10年前と比べて大きく状況が変わりました。グローバル化が進んでM&Aが頻繁に起こり、国内の規制などにより方向転換を迫られる会社も増えています。高収入で常に需要があると言われたMRも一生安泰とは言えない時代になってきました。そこで現在の勢力図ともいえる製薬会社のランキングと業界の将来性について見ておきましょう。
製薬会社売上高世界トップ10(2017年度)
社名 単位:億ドル
- ロシュ 543.65
- ファイザー 525.46
- ノバルティス 491.09
- メルク 401.22
- サノフィ 396.12
- GSK 389.40
- J&J 362.56
- アッヴィ 282.16
- ギリアド 261.07
- イーライリリー 228.71
(参照元:AnswersNews)
ロシュ(スイス)
1位は抗がん剤で売上を伸ばしているロシュ。インフルエンザ治療薬「タミフル」で有名な製薬メーカーです。同社は「オンコロジー領域」における日本国内シェア第1位となっており、さらなる市場拡大が期待できる抗体医薬品の分野でも国内トップのシェアを誇ります。
過去には主力の抗がん剤「アバスチン」「リツキサン」「ハーセプチン」「ハーセプチン」が抗がん剤の世界売上高トップ3を独占するなど、圧倒的強みを持っています。最近では乳がんの抗体薬物複合体「パージェタ」やロシュ子会社の中外製薬が創製した、日本で初めての国産抗体医薬品「アクテムラ」が大きく売上を伸ばしているようです。
ファイザー(アメリカ)
前年首位だった米ファイザーは特許切れ品の減収や事業売却の影響で減収となりました。乳がん治療薬「イブランス」は順調に売上を伸ばしており、日本でも2017年12月に発売となって話題を集めています。主力商品の特許切れなどが相次いでいるものの、その他新薬部門では好調を見せています。
ノバルティス(スイス)
3位のノバルティスは白血病、加齢黄斑変性症、多発性硬化症などのアンメット・メディカル・ニーズの治療薬開発を他社に先駆けて行ってきた企業です。最近ではノバルティ乾癬治療薬「コセンティクス」や心不全治療薬「Entresto」などが売り上げを伸ばしていまあす。しかし競合の成長も著しく、主力商品の白血病治療薬「グリベック」の特許切れなどを補う商品開発を急いでいます。
製薬会社売上高国内トップ10(2016年度)
社名 単位:百万円
- 武田薬品工業 1,732,051
- アステラス製薬 1,311,665
- 大塚HD 1,195,547
- 第一三共 955,124
- エーザイ 539,097
- 中外製薬 491,780
- 田辺三菱製薬 423,977
- 大日本住友製薬 411,638
- 協和発酵キリン 343,019
- 塩野義製薬 338,890
(参照元:AnswersNews)
武田薬品工業
1位は「アリナミンV」や「ボラギノール」などで有名な武田薬品工業。国内の薬価改定や円高の影響で減収となっているものの、国内では圧倒的な売上高を誇っています。潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は1432億円とブロックバスターに成長し、多発性骨髄腫治療薬や酸関連疾患治療薬などの新製品が業績を引っ張っています。
日本トップの武田薬品でも、世界では上位10位にも入りません。その差に危機感を感じている同社は、時価総額で自社を1兆円も上回るアイルランドの製薬大手シャイアーに対する買収交渉を行うなど、M&Aによる勢力拡大に積極的です。ちなみに、武田薬品の社風として、業界内でも特に「誠実な方が多い」ことで知られているそうですよ。
アステラス製薬
アステラス製薬は泌尿器領域や移植領域に強みを持ち、主力商品の「ベシケア」、「ミラベグロン」は世界で2,000億円以上を売り上げるなど世界的にもトップクラスのシェアを誇っています。売上高では武田薬品に続く2位ですが、新薬開発の選択と集中を行う効率的な戦略によって、利益率は国内でも群を抜いています。
また、経営理念を込めたコミュニケーションスローガン「明日は変えられる。」は薬づくりで世の中を変えていく気迫が伝わってきて非常に印象的ですね。
大塚ホールディングス(大塚製薬)
大塚製薬といえば「ポカリスエット」や「カロリーメイト」などのCMをよく目にするので、もしかすると上位2社よりもお茶の間になじんでいるかもしれません。健康食品や飲料などの「消費者関連商品」が売上の25%を占めているという特徴からも納得ですね。
世界的な売上を誇る抗精神病薬「エビリファイ」は特許切れで減収が著しいですが、それでも医薬品による強固な収益基盤を持ちながらも、食品・飲料の増収による成長が見込める企業だといえます。
アステラス製薬は「個人による成果主義」の傾向が強い印象に対して、大塚製薬は会社全体に「チームで目標を達成する」という意識が根付いた企業ともいわれています。
以上のように国内は例年、若干の順位変動はあるものの、上位4社はほぼ変わらず高い売上を出しています。しかし、かつての「薬を作れば売れる時代」は遠い昔の話。さまざまな事情により、各製薬会社は将来に頭を悩ませる状況になっています。今後の製薬業界はどうなるのでしょうか。
製薬会社は今後どうなる?製薬会社の将来が明るくない理由
新薬を上市するハードルが高い
医薬品は、私たちの生活とは切っても切り離せない存在です。医療技術の発展にともない、かつては薬は作れば売れる時代でしたが、今は新薬を生み出すことがそもそも難しくなっています。その理由の1つは「疾病構造の変化」にあります。
たとえば10年前までは食習慣の欧米化などにより、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の治療薬が必要とされていました。ところが今、医薬品市場での一番の注目は抗がん剤などのオンコロジー領域へとシフトしています。
がんは医療業界の進歩により不治の病ではなくなってきており、より良い治療薬への期待が集まるのも当然といえます。しかし、がん領域は開発リスクが高く上市までの道のりが極めて険しいため、これまでよりも異常にコストがかかってしまうのです。
また他の領域では、多くの優れた医薬品がすでにたくさん世に出ているため、既存品を超える新薬の開発も難しくなっています。人々の健康な生活を支える多くの治療薬があることは業界の切磋琢磨による賜物ですが、それが今は市場の伸びを抑制しているという現状もあるのです。
後発品の使用が国によって推進されている
国の医療政策として、「後発品(ジェネリック医薬品)の使用率を80%まで上げる」という目標が掲げらています。先発品とほぼ同等の効果があり安価な後発品は、国の医療費削減に大きく寄与すると言われているためです。けれども安い医薬品の比率が高まれば、製薬会社の売上は大ダメージを受けます。一つ目の理由とも相まって、国内の新薬開発市場は強烈な足止めを受けています。
長期収載品で利益が出なくなってきている
新薬開発のハードルが上がれば、先発メーカーは長期収載品(特許切れの医薬品)の売上に頼ることになります。しかし、長期収載品も薬価が非常に安く、特許が切れていることから後発品が出てくることも止められません。すると今後、利益が減少していくは避けられないので、後発品事業シフトしていくか、利益率が下がる導入品を扱うことになります。
つまり、今、国内の製薬業界全体として利益の確保が難しくなってきているのです。このままいけばリストラなどの規模縮小や製薬会社の合併・吸収が進む可能性もあるため、業界の将来に黄色信号が出ているというわけです。
製薬会社への就職を考えるなら業界の動向もチェック!
医薬品が私たちの生活から無くなることはあり得ないため、製薬業界がすぐに縮小することはありません。しかし現状、ネガティブな要素が増えてきていることは確かです。やや厳しい目で見ると、これまでのように「高収入で安定した業界」と言われることが20年後も続くとは限らないのです。そのため就職や転職を考えるときは、業界そのものの動向にも目を光らせておきましょう。
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