退職後もこれで安心!社会保険と国民健康保険の違い。切り替え手続きの方法とは
2018年7月5日 Posted by 編集部

会社員でしたら、社会保険の手続きはすべて会社任せという方がほとんどだと思います。しかし、転職にともなって会社を退職する際、何も知らないと不利益を被ることにもなりかねません。勤めていた会社が親切に説明してくれるとは限りませんので、自分を守るためにも事前知識はおさえておきましょう。この記事では、社会保険の定義から国民健康保険との違い、退職後の手続きについて解説します。
目次
会社員の特権!社会保険とは?
そもそも社会保険とは何でしょうか? 私たちは国で決められた国民皆保険の考え方により、国民すべてが何らかの医療保険制度に加入することになっています。それによって、医療費の負担が減るなどのメリットがあるのですが、医療保険には種類があり、
- 会社勤めの方が入る社会保険
- 公務員、教職員などが入る共済組合
- 自営業、無職の方などが入る国民健康保険
に分けられます。多くの方は会社員ですので、就職と同時に社会保険に加入することになります。次の項目からは、社会保険についてさらに詳しく見ていきましょう。
社会保険とは
社会保険とは、会社から給料をもらっている人が加入する保険制度であり、医療保険に加入する方の半数以上が該当します。その中でも種類があり、
- 全国健康保険協会(協会けんぽ):中小企業の従業員とその家族
- 組合管掌健康保険(組合健保):大企業の従業員とその家族
の2種類に分かれます。国民健康保険なども含めたこれらの医療保険制度により、私たちは医療費の負担が3割程度ですむのです。
国民健康保険(国保)と社会保険(社保)の違い
では、社会保険(以下、「社保」)と国民健康保険(以下、「国保」)はどのような違いがあるのでしょうか。先述のとおり、社会保険は主に会社員、その他の公務員などを除くすべての人は国保に加入することになります。違いは、納める保険料の違い。どれも同じ医療保険ですが、運営元となる団体も違えば、勤める企業や住んでいる市区町村によっても保険料は変わります。国保と社保の違いをまとめると次のようになります。
- 国民健康保険
加入条件:個人事業主、無職の方など、その他の保険制度に属さない人すべて
運営者:市区町村役場の国民健康保険窓口
保険料:世帯単位で、加入者の数、年齢、収入などにより算出
扶養:扶養という概念は無く、世帯内の加入者数によって保険料が上下する。 - 社会保険
加入条件:会社に勤務している正社員、または正社員の3/4以上労働する人 ※短時間・短期間労働者は除く
運営者:協会けんぽ、または各社会保険組合
保険料:個人単位で、年齢、収入などにより算出
扶養:認定範囲内の親族を扶養することができる。何人いても保険料は変わらない。
なぜ社会保険の保険料は安い?
結論から言いますと、保険料については社保のほうが安くなるケースが多いです。国保は加入者(被保険者)が保険料を全額負担するのに対して、社保では会社と折半して納めるためです。つまり正確には、社保は保険料が安いわけではなく半分しか負担しなくていよいので安く見える、ということになります。
また、扶養の考え方の違いもあります。社保には扶養があり、扶養する人が何人いても負担額が変わりません。対して国保には扶養という概念がありませんので、世帯の加入人数が増えるほど保険料が上がります。そのような違いから、社保は基本的に国保よりも保険料が安くなるのです。
定義などを確認したうえで気になるのは、自分の状況が変わったときの手続きだと思います。そこで次に、会社退職後の手続きについて確認していきましょう。
退職後の健康保険、どうしたらいい?(1)任意継続する
会社を退職するときに知っておくべきことは、社保を2年間に限り継続できるということです(任意継続)。これには期限などの条件もありますので、会社任せにすることなく知識として押さえておきましょう。以下、協会けんぽを例に解説していきます。
※企業ごとの組合の場合は、退職時にそれぞれ問い合わることをお勧めします
任意継続被保険者になるための要件・申請に必要なもの
任意継続被保険者になるためには、以下の厳格な条件があります。
- 資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
- 資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
そして申請のときには以下の書類が必要になります。
- 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
※扶養家族がいる場合は「健康保険被扶養者届」
こちらを協会けんぽのサイトからダウンロードして記入し、お住まいの住所地を管轄する協会けんぽ支部に提出します。
また、各種扶養を希望する家族や親族がいる場合、扶養条件を確認するための書類として
- 非課税証明書
- 所得税に関する源泉徴収票のコピー
- 雇用保険受給資格者証のコピー
などが必要ですので、会社に依頼する必要があるものは早めに確認して入手しましょう。
保険料
社会保険料は退職時の標準報酬月額(※)に、お住まいの都道府県ごとで決まる保険料率を掛けた額となり、脱退までの2年間同じ保険料となります。ただし、標準報酬月額は28万円が上限となりますので、それを超えるような収入の方は28万円をもとに計算されます。
なお、退職後(資格喪失後)は会社との折半ではなく「全額負担」となります。そのため保険料は在職時のざっと2倍になると考えておくとよいでしょう。
※「標準報酬月額」とは、毎年一回7月に、4~6月の3ヵ月間に支払われた給与の平均額を、「標準報酬月額表」にあてはめて決定するもの。
手続きの方法・注意点
「任意継続被保険者資格取得申出書」(扶養ありの場合は加えて「健康保険被扶養者届」)を、退職した次の日から20日以内に協会けんぽ支部に郵送、または窓口に持参します。
このときに、資格喪失日(退職日の翌日)から20日を過ぎると、いかなる理由があっても任意継続ができなくなるので要注意。また、その後の保険料納付が1日でも遅れると、翌日には強制的に任意継続が終了となる点も覚えておきましょう。
退職後の健康保険、どうしたらいい?(2)国民健康保険に加入する
退職後に任意継続を利用しない方は、国保に切り替える手続きが必要になります。社保の脱退は会社が行ってくれますが、国保の加入は自分で行わなければいけません。そこで、以下に必要なもの、手続きの方法などをまとめました。
国民健康保険の申請に必要なもの
国保の申請手続きには以下のものを用意する必要があります。
- 退職日が証明できるもの(※)
- 身分証明書(運転免許証など)
- マイナンバーが分かるもの(通知カードなど)
- 印鑑
※「社会保険の資格喪失証明書」または「雇用保険の離職票」などです。ただし、これらの書類を必要としない市区町村もありますので、手続き前に電話で確認しましょう。
保険料
国民健康保険料は主に「所得」「加入者数」「年齢」などによって決まりますが、お住まいの自治体によっても計算の基準は違います。よって手続きする前に金額を知りたい方は役所に問い合わせるか、または役所ホームページで計算シミュレーションできるところはそちらですぐに確認できます。
手続きの方法・注意点
国保の手続きには、お住まいの市区町村役場で退職日から14日以内に手続きすることになります。この期限は原則守るべきですが、国保はその他の保険に入っていない方全員が加入するものなので、期限を過ぎても手続きは可能です。とはいえ、先延ばしにすると手続きの督促状などが届きますので、早めに済ませておきましょう。
ちなみに、任意継続とどちらにしようか迷うときには、任意継続の申請をお勧めします。気が変わればいつでも脱退できますし、一度国保を選ぶと任意継続はできなくなってしまうためです。
社会保険証にまつわるQ&A
それでは最後に、社会保険証に関するよくある質問と回答を紹介します。
保険証をなくしたときはどうしたらいい?
保険証をなくしたときは、すぐに再交付の手続きをしましょう。その際は会社の担当者を通して、「健康保険被保険者証再交付申請書」を協会けんぽに提出してください。もしも離職中で任意継続の方は、協会けんぽのサイトにある同様の申請書を作成し、本人確認書類とともに申請しましょう。保険証を誰かに悪用されないとも限りませんので、速やかに手続きするようにしてください。
転職後、すぐに保険証が発行されない場合にはどうしたらいい?
「社会保険完備」となっている会社であれば、入社した日から保険適用になります。しかし、手続きにはどうしても2週間ほどかかってしまいます。そこで、保険証が発行されるまでの空白期間に医療を受けるときには「健康保険被保険者資格証明書」という書類を会社に発行してもらうか、日本年金機構のホームページからダウンロードしましょう。それを医療を受けるときに提示すれば、保険証がある場合と同様に3割負担ですみます。
もう1つの手段としては医療費を全額負担しておき、保険証を発行されたあとに返還手続きをすることです。病院に保険証を持っていけば払い戻してくれるところもありますが、病院にその義務はありません。よって基本的には協会けんぽ支部の窓口で手続きすることになります。
後者の還付手続きは保険者資格証明書を発行するより明らかに面倒ですので、前者の方法をとるのがよいでしょう。
知っておくだけで大幅な時短になる
社会保険などの手続きは、会社任せで放置しがちです。しかし、会社の手続きが遅いと余計な心配をしたり、いらぬ手間がかかるケースも少なくありません。さらに退職から転職まで期間が空くと、国保への切り替え手続きをすべて自分ですることになります。事前に知っておくだけでスムーズに行くことも多々ありますので、転職活動の妨げになりそうな不安の種は取り除いておきましょう。
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